人体のしくみー木の臓腑
ここからは、臓腑について一つ一つ取り上げていきます。
自然界では、木は水をもらい、火が燃える時の燃料になります。
土の栄養を吸い上げて成長し、金属の斧によって切り倒されます。
木の性質を自然界に当てはめると、
方角は…東
季節は…春
季節に特徴的な働きは…生れる
気候は…風
時間は…平旦(明け方の3時~5時頃) 陰中の陽
木の性質を人体に当てはめると、
臓は…肝
腑は…胆
関係する精神活動は…魂
関係の深い感情は…怒
ストレスは肝の疏泄を悪くし、気血の滞りを起こします。⇒怒は肝を傷る。
関係の深い部位は…筋
血を適切に分配することで運動を支配します。筋肉そのものではなく、筋の運動や支持機能を指します。腱や運動神経と思ってもよいでしょう。
開竅しているのは…目
目は血を多く必要とします。
働きを反映している部位は…爪
爪は筋の余りで、肝の状態をよく反映します。
病気の時に出る色は…青
病気の時にする臭いは…羶、臊
あぶらくさい臭い。動物性脂肪の焼ける臭いです。タレも何も付いていない羊を焼くと羶、何も付いていない馬を焼くと臊。焼肉やジンギスカンのの匂いではありません。
使い方に注意の必要な味→酸
収斂させる働きをもち、摂り過ぎれば筋病になります。
病気の時に出る声は…呼
病気の時の声の高さは…角ミ(カ行の牙音)
病気を反映する体液は…涙
目を潤し、保護します。
関係の深い働きは…色
働きが失調したときに現れる病変は…握
病因となる生活習慣…久行
歩き過ぎ、運動のし過ぎ、過労は筋を使うことによって大量の血を消耗するために肝を傷つけます。
と、なります。
肝は知恵と勇気にたけた将軍に例えられ、計画や考慮をする時、必要なところに血を分配し、各臓腑を働かせます。
胆は判断力や計画性などの精神活動を支配し、物事をてきぱきと決断する働きや、多少のことには動じない性質に関わります。
「罷極(ひきょく)の本」
肝は疲労に耐える根本であり、肝がしっかりしていれば内外の変化にすばやく対応して適切な行動がとれます。
「血を蔵す」
脾から取り上げた営気と腎精を混ぜ合わせた血を貯めておき、身体の働きに応じて分配しています。
夜になると血が肝に戻るために眠くなり、活動時には筋へ血を分配するために力強く活動することができます。
「疏泄(そせつ)を主る(つかさどる)」
気血津液をのびやかにめぐらせます。脾胃の降濁昇清、胆汁の分泌、情志の調整を行っています。
木と火土金水との関係
「水は木を生ず」
木は水をもらって成長します。
肝は腎から生まれます。
肝と腎の関係は主に精と血の関係にあります。(腎は精を蔵し、肝は血を蔵する。)
肝血は腎精の滋養に依存しており、肝の疎泄と血液の調節機能は、これによって順調に営まれています。
肝血が充盛すると血は化して精となり、腎精もそれにつれて充実することができます。
腎精が虚損すると肝血不足をきたし、肝血が不足すれば腎精も虚損することになります。
肝腎二臓は、一方が盛んになるともう一方も盛んになり、一方が衰えるともう一方も衰え、運命共同体ともいえます。(肝腎同源)
「木は火を生ず」
火に木をくべると、火力が増し、木をくべないと火は消えてしまいます。
心は血液運行の中枢で、肝は血液の貯蔵と調節を主り、二者協同して血液の循環を行っています。
人の精神活動は主として心が主宰しているもので、肝とも密接な関係をもっています。
肝の疎泄機能が正常であれば、気の働きも順調で気血は平和で、心情もおだやかです。
心と肝はともに血の充養に頼っており、精神面の変化異常でも心肝同じような影響を受けます。
「木は土を剋す」
木は土の養分を吸い取って成長します。
脾で生成された血(営気)は肝に蔵されます。
肝は血を蔵するために脾から血を取り上げます。
肝は血を蔵し疎泄を主り、脾は血を生じ運化を主り、肝と脾の間の主な関係は疎泄と運化となります。
肝の疎泄作用が伸びやかで気の通りがよい状態では、脾の運化機能も正常に発揮されます。
脾の運化は、肝の疎泄作用に依存している。
肝の蔵している血は、脾の水穀精微物質の運化に頼っており、脾の運化が不良になると肝の疎泄がうまくいかなかったり肝血不足を起こす。
「木は金に剋される」
木は金属製の斧によって切り倒されます。
肝は血を蔵し、肺は気を循環させます。
肺気が循環することによって血が動き体を栄養します。
肺気が循環すればするほど肝の血は消耗します。(肺は肝を剋す)
肺は気を主りその性質は粛降であり、肝は血を蔵しその性質は昇発です。
肺と肝の関係は、人体の気が昇ったり降りたりする動きです。
肺は全身の気の調節を、肝は全身の血の調節を行っています。
肺の全身の気の調節機能は血に養われることに頼っており、肝の全身にわたる血液輸送は肺の気が押し出すことによってできます。
肝の疎泄作用によって肺気は順調にめぐり、また全身に津液を輸布させることができます。
人体のしくみが終わった頃にもう一度この表を見ると、わかりやすいかと思います。
次回は火の臓腑についてです。
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