症状－肺の病証

前回は脾・胃の臓腑経絡に気血津液の虚実が起こり、寒熱が発生するとあらわれる症状について書きました。

今回は、肺・大腸の臓腑、肺の経絡、大腸の経絡に、何らかの病理が起こると、どのような症状があらわれるかについてお話していきます。

肺虚証

肺は気をつかさどるため、肺虚証＝気虚、となります。

気が虚して、発散する力がなくなると陽気が体の浅い部分に停滞し、発熱した状態を『肺虚熱証』といいます。

汗が出ない、咳、肺炎、気管支炎、関節痛、頭痛、目や鼻口の乾き・炎症、首の強張り、喉の痛み、蓄膿症、上半身の神経痛、皮膚病、痔などの症状がおこります。

気が虚して、体を温める陽気が巡らなくなり冷えた状態を『肺虚寒証』といいます。

風邪、寒邪に入り込まれると悪寒となります。

特に肩や肩甲骨周りが冷える、咳、薄い鼻水、元気がなくなる、鬱、汗がダラダラと出る、お小水の回数が増える、下腹部痛などの症状がおこります。

肺実証

外邪の侵入や、他の臓腑の熱の波及ににより、実になることがあります。

肺は、胸に溜まった熱を水蒸気として呼吸と同時に外へ発散する役割をしています。

高齢者が、肺炎になっても高熱が出せずに発見が遅れるのは、体のうるおいが減って乾燥したために、熱を発散できないからです。

肺の実は、津液不足から起こることが多いので、腎虚が元になっていることがあります。

表裏関係にある大腸の症状は、脾が関係していることが多いです。

便秘をすると胃腸に熱がこもります。

体にこもった余分な熱は、肺が上から、大腸が下から排出して、熱が停滞しないようにしている、と考えると、表裏関係になっているのもわかる気がするかもしれません。

大腸がスムーズに働くためには、脾が作ったうるおいが必要となります。

肺の臓につながっている手の太陰肺経の経絡に病がある病証

悪寒、発熱、頭頸部の強張り、頭痛、関節痛、汗が出ない、汗が止まらない、鼻水、鼻づまり、腕の冷えや痛み、掌が熱い、肩甲骨周りが冷えて痛む、鎖骨の上が痛い、皮膚病。

肺と表裏関係にある大腸につながっている手の陽明大腸経に病がある病証

歯痛、首の腫れ、目が黄色くなる、鼻水、鼻血、喉が腫れて痛む、目の疾患、皮膚病、肩から腕にかけて痛む、肩が上がらない、外側上顆炎、人差し指が使いにくい。

次回は、腎膀胱の病証についてお話します。