基礎理論ー五行学説

五行の考え方の起源は古く、殷(商)の時代(紀元前17世紀~11世紀頃)の宗教的観念にまでさかのぼります。

当時の甲骨文字に見られる四方の風の神の名前がこのことを示しています。

後に神をまつっていた方角 東=青龍、南=朱雀、西=白虎、北=玄武(中央が後に加えられる)は、これから発想されたものと考えられています。

また、世の中の全ての物は木火土金水という5つの基本物質からできていると考えられていました。

広大な中国の風土を理解するためには、黄河を中心として、四方の地域の土の色や、生産物、気候などを、四神や五つの代表的な物質に結び付けて分類して考えるとわかりやすいということから、五行学説が生まれたとみられています。


一に曰く水、水を潤下、潤下は鹹をなす。(寒涼、滋潤、下降) 

二に曰く火、火を炎上、炎上は苦をなす。(温熱、上昇)

三に曰く木、木を曲直、曲直は酸をなす。(昇発、条達、伸びやか)

四に曰く金、金を従革、従革は辛をなす。(粛清、変革、収斂) 

五に曰く土、土を稼穡(かしょく)、稼穡は甘をなす。 (生花、継承、受納) 

すべての現象はこの五つの要素の相生(親子関係)と相剋(調節し合う関係)によって説明できると考えます。

『曲直』とは、樹木の成長のことです。外向きに伸びやかに育っていく様子のことです。

樹木は種から芽を出したときは、曲がっていますが、それが徐々に伸びで真っ直ぐになり、成長します。

木の性質を表します。

『炎上』とは、火は熱を持っているため、上へ向かいます。

炎がメラメラと上昇していく様子のことです。
火の性質を表します。


『稼穡(かしょく)』とは作物を育て収穫することです。

稼は稼ぐ。穡は溜め込むこと。


『従革』とは変革です。

天命を受けた徳のある人に従って生活していても、そのうち徳のない人が治め始めると、武器をもって革命が起きますね。そして次に徳を持った人が新しく人々を治めるようになります。

新旧が入れ替わり(呼吸・清潔)、物事がまとまります(粛降・収斂)。


『潤下』とは、潤し、下へ向かって流れていく様子のことです。


相生と相剋の正常な関係は

相剋関係…相互を制約・抑制し、行き過ぎを抑えるために働いてバランスをとります。

木は土を剋し、土は水を剋し、水は火を剋し、火は金を剋し、金は木を剋す。

火が燃えすぎないように、水で消して火の勢いを抑える。

木が伸びすぎないように、金属でできた斧で余分な枝をはらう。…など。


相生関係…相手を生み育てる母子関係。

木は火を生み、火は土を生み、土は金を生み、金は水を生み、水は木を生む。

木は火をおこす時の燃料となり、燃えた灰は土になる。土が地中の奥深くで固まって金になり、金属が冷えると水滴が付いて水を生む。水は木を育てる。という関係です。


異常な関係は

相乗関係…相剋関係の過剰
剋すものが剋されるものを剋し過ぎる。

火が燃えすぎないように、水で消して火の勢いを抑えるのは正常だけれども、水をかけすぎると火が消えてしまう。

木が伸びすぎないように、金属でできた斧で余分な枝をはらうのは正常だけれども、切り過ぎれば木が枯れてしまう。

…など。


相悔関係…相剋関係の逆転
剋されるものが強すぎて剋すものに剋されてしまう。

火が燃えすぎないように、水で消して火の勢いを抑えるのは正常だけれども、火の勢いが強すぎれば水をかけたぐらいでは火の勢いが収まらない。

 木が伸びすぎないように、金属でできた斧で余分な枝をはらうのは正常だけれども、枝が太く多すぎれば斧はボロボロになってしまう。

…など。



正常 木→土、火→金、土→水、金→木、水→火

相乗 木⇒土、火⇒金、土⇒水、金⇒木、水⇒火

相悔 木←土、火←金、土←水、金←木、水←火


万物は陰陽木火土金水からできています。

そしてこの5つのものの働きを人間の体に当てはめて東洋医学は考えられています。


この五行説がどのように人間に身体に当てはめて考えられるのか?

を、知る前に、まずは人間の体を構成するもの、気血津液の説明をしてからはじめて行きたいと思います。

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