人体のしくみー気血津液
気血津液はどのように作られるのか?
気については「基礎理論ー気の種類と作用」を参考にしながらお読みください。
体を構成し動かしている気血津液は、父母からもらった「先天の精」と呼ばれる生命力を基礎とし、胃腸で消化吸収した飲食物(水穀の精微)から取り出された「後天の気」と呼ばれる栄養や、呼吸によって吸込んだ「清気」よって補充されます。
肺に吸収された「清気」と呼ばれる主に酸素と、飲食物から取り出された「後天の気」が合わさって、宗気となり、胸中の膻中(だんちゅう)と呼ばれる場所に集まります。
宗気は肺の呼吸機能と、心臓のポンプ作用を支える気です。
体表を巡って、体を守ったり温めたりする働きを持つと、衛気と呼ばれるようになります。
つまり、食べたり飲んだりすることができなくなると、呼吸もできなくなり、心臓のポンプも働かなくなり、冷たくなって死んでしまうというわけなのです。
血は、営血とも呼ばれ、 胃腸で消化吸収された水穀の精微から得られる、その中でも特に栄養豊かな部分から作られた営気と、それを液状にして運ぶための津液が混ざったものです。営気を血餅、津液を血漿と考えるとわかりやすいです。
心の陽気の作用で赤く変化し血となります。
腎精から補充されることもあり、また、余った血は腎精に戻されることから、精血同源=肝腎同源といわれます。
津液(しんえき)は 水穀の精微から生成され、肺に送られてから全身へシャワーのように降り巡らされます。
赤くない液体、 人体の正常なうるおいの総称です。ですので、鼻水や痰、尿などの不要な水分は含みません。
津(しん)…陽性のサラサラの水分。
皮膚や鼻、のどなど、体表部を潤し、体温調節に関与します。
不要になると涙、唾、汗や尿となって体外に排泄されます。
液(えき)…陰性のねばねばした水分。
眼球の中、関節内腔、脳など、体内をゆっくり流れるもので骨や髄を潤します。
全身を栄養・滋養した後、汗となって体外へ排出されます。
うるおいが減ると津も液も減り、材料も出来上がる工程も同じため、別々に語られるよりも、津液として一緒に語られることが多いです。
この津液が使い終わって不要になると体の外へ排出されますが、排出がうまくできないと、体に溜まって痰湿となり、痰や鼻水、むくみや身体の重だるさの原因となります。
血液や体のうるおいが食べたり飲んだりしたものから作られるのは、西洋医学に慣れ親しんだ現代人でも理解しやすいですね。
オレンジ色の流れが、水穀の精微から後天の気を作る流れです。
赤色の流れが血の流れです。
水色の流れが津液の流れです。
この流れを動かしているのが『気』です。
それぞれの臓の働きを見た後にもう一度このページに戻っていただくとわかりやすいかと思います。
今は何となく頭に入れておいてくださいね。
気血津液を作るためには、親からもらった先天の気(腎)と、飲食物を消化吸収して得られる後天の気(脾胃)が重要な役割を果たしています。
古典に書かれてある、気血津液互いの関係についてです。
・気は血を生ずる(気能生血)…営気と津液によって作られる。
・気は血を巡らせる(気能行血)…気の推動作用によって全身にめぐる。
・気は血を摂す(気能摂血)…気の固摂作用によって、脈外に漏れない。統血作用。
・血は気の母…血は身に必要なものを運び、臓腑・器官・肌・肉などを養っている。
・気は陽に属し、血は陰に属す…気は軽く動きが激しい。血は重く動きは穏やか。
・気は津液を生ずる(気能生津)…気は津液生成の原動力であり、津液の生成は気の推動作用に頼っている。
・気は津液を巡らせる(気能行津)…気は津液の正常な輸布・運行の原動力である。
・気は津液を摂す 津液は気が裁く(気能摂津 津能裁気)…気の固摂作用は津液の不要な流出を防いでいる。
・気が盛んなれば津を生じる、気は液に従って脱す…津液は脾胃の働き(=気)によって水穀から生成されるが、大量の発汗や嘔吐・下痢などで津液を過度に損失すると,それに伴って気を損傷する。
・気は水を化す、水が停まれば気も阻滞する…津液を生成し、巡らせ、排泄させるのは,肺・脾・腎・三焦・膀胱などの臓腑の気化作用・推動作用によって行われる。気化作用や推動作用が失調すると水液の停留、痰飲の生成、水腫となったりする。逆に気の巡りを阻滞させる原因ともなる。
・津血同源…血と津液はいずれも水穀の精微より化生し、ともに滋養と濡養の作用を備えている。両者は互いに転化し補うことができる。
世の中の万物はすべて陰陽に分けることができます。
そして、その万物を構成する要素は木火土金水。
さらに、人を構成するものが気血津液となります。
東洋医学は心身一如と考えます。
こころも体も繋がっています。
次回はこころとの繋がりについてお話していきます。
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