病理

病理とは、病気の理(ことわり)、筋道。

気血津液の虚実の状態をいいます。

体質(素因)に、病気の原因がくわわり、気血津液が健康の状態から変動し、そこで発生した寒熱が臓腑経絡に波及することによって、病証があらわれます。

病証とは「主訴」です。


病証があらわれるには、図のようなメカニズムがあります。

人は病院に行ったり、鍼灸院へ行く時、何かしらの症状を訴えます。

その症状に対して、思い当たる原因を伝えますよね。

「カゼをひいた」となれば、「昨日、寒かったから」「周りに咳をしている人がたくさんいたから」とか、「頭が痛い」となれば、「昨日飲み過ぎて二日酔いです」「スマホで長時間ゲームをしていました」など。

でも、全員が「寒いから」「周りに咳をしている人がたくさんいたから」カゼをひくわけではありません。

二日酔いになっても、頭痛ではなく胃腸の不調になる人もいますし、長時間スマホを見ていても頭痛にならない人もいます。

その症状が表れるためには、体質があって、原因によって体にどのような変化が生じたのか?という流れ、筋道があるのです。

その流れを無視して、表に見える症状だけを治療しても、根本的な解決にはなりません。


病気になる道筋とは、気血津液の虚実を考えます。

虚=足りない

気虚…体に必要なものを巡らせ、活動するエネルギーが不足した状態です。

体を陽気が巡らないために冷えます。

飲食物を消化吸収するためのエネルギーが不足するので、血や津液の虚にもなりやすくなります。

血虚…体を養う、栄養を含んだうるおいが不足した状態です。

うるおいが不足して胸の熱を強く感じるようになると熱症状があらわれますが、血はあたたかいものなので、不足すると冷えます。

津液虚…体をめぐっているうるおいが不足した状態です。

うるおいがないと乾燥して熱を発生させます。

気が虚してうるおいを巡らせることができなくなると、冷えて乾燥することもあります。

日中と夜の寒暖差が激しい砂漠をイメージしていただけるとわかりやすいかと思います。体を津液が巡らないと砂漠と同じようなことが起こります、


実=停滞してつまっている

気滞…巡らせるエネルギーが不足すると、流れがスムーズに行かないところで滞って、気が停滞した状態です。

停滞している部位は熱をもちますが、停滞しているその先は気が虚しているので冷えます。

張ったような痛みを伴うことが多いです。

瘀血…血が流れずに、その場にとどまって固まった状態です。

停滞している部位は熱をもちますが、その先は血が巡らないので冷えます。

刺すような痛みを伴うことが多いです。

痰湿・水滞…津液が流れずに、余分な水分が溜まって停滞した状態です。

熱がある部位でたまると煮詰まって痰となり黄色っぽい色が付きますが、熱がない場合は白か透明です。

水滞は巡らせたり余分な水分を片付けるエネルギーが不足するとできるため、冷えている場合が多いです。

重だるさを感じることが多いです。


そこから発生する寒熱

陽虚=体の陽の部位に陽気が少なくなったために、相対的に陰の気が多くなり、冷えます。

血虚や水滞で起こります。

陽実=陽気の流れが悪くなると、余分な熱を発散させることができず、熱が停滞します。

気滞で起こります。

陰虚=体の血や津液が虚してうるおいがなくなり、内側で発生した熱が外に出ていこうとするため部分的に熱が発生します。陽実ほど強い熱ではありません。

血虚や津液虚で起こります。

陰実=陽気で陰分(血や津液)を巡らせることができないために停滞し、体の深いところで熱が停滞するために陽気の発散が阻害されて、表面は冷えます。

気虚や瘀血で起こります。


これらがどこの臓腑経絡で起こると、初めて症状としてあらわれるのです。


どこの臓腑経絡にあらわれると、どのような症状があらわれるのか?

次回から臓腑別にお話していきます。

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