病気の原因-不内外因(生活習慣)
病気の原因を、体質(素因)、気候や環境など(外因)、精神状態(内因)から見てきました。
最後に、病気の原因となる生活習慣、不内外因(ふないがいいん)についてです。
生活習慣病と思えばわかりやすく、現代人が病気になる原因で最も多いものかもしれませんね。
飲食
量の不足…生きていく上で必要なものが不足し、病気に対する抵抗力が失われます。
量の過剰…胃腸に負担をかけ、体に余分なものがたまり、それが病気の原因となります。
冷たいもの…体が熱を持ち過ぎないように調節してくれるのですが、摂り過ぎると寒邪による病気になります。
温めるもの…体を温めます。しかし、摂りすぎると熱による病気や炎症になります。
酸っぱいもの…キュッと引き締める働きがあります。摂り過ぎれば筋肉の不調につながります。
苦いもの…熱を冷まし、胃腸を健やかにする働きがあります。摂り過ぎれば骨の不調につながります。
甘いもの…体を養ってくれますが、湿がたまりやすい性質をもっています。摂り過ぎれば皮下組織が緩んだり脂肪が付きやすくなります。
辛いもの…気を発散して体を温めます。摂り過ぎれば気が消耗して不足してしまいます。
塩からいもの(鹹)…うるおいを引きよせ温めます。摂り過ぎれば血液がドロドロしたり高血圧になるなど、血に関わる不調につながります。
労倦(ろうけん)
労働過度
久しく行えば肝を傷る…運動のし過ぎ、体の使い過ぎによって血が消耗してしまうことです。
久しく視れば心を傷る…目を酷使することで、脳が疲労し、自律神経の働きが乱れることです。
久しく坐れば脾を傷る…座りっぱなりで体を動かさないでいると、気持ちよくお腹が空いてくれませんし、食べたものも滞りやすくなります。
久しく臥せば肺を傷る…寝てばかりいると、肺の動きが悪くなり、体に必要な酸素を十分に取り入れることができず、気が不足して元気がなくなっていきます。
久しく立てば腎を傷る…立ちっぱなし、特に寒いところに長時間立ったままでいると、足腰が弱ります。
心労過度
いろいろと思い悩み、考え過ぎると、心と胃腸の働きが悪くなります。
房事過度
過度の房事は腎精を消耗します。
安逸過度
長期にわたり運動不足だと、気血の流れが悪くなり、脾胃の機能も衰えます。
外傷
打撲、捻挫、骨折、切り傷、虫刺され、火傷、凍傷など。
外傷後は気血津液の流れが、傷口で滞り、瘀血を生じやすくなります。
瘀血を生じると、その先へ気血が流れにくくなるため、手術を受けたり、大怪我をした後に冷えを訴えることが多いのは、そのためです。
手術や出産なども、ここに入るため、手術を受けて治ったから、出産してしまったから、と油断せずに、しっかり養生することが大切です。
痰飲(たんいん)
肺脾腎の機能が失調したために、水液代謝に障害が起こることです。
粘稠なものを痰、水様のものを飲といいます。
カゼをひくと肺の機能が失調します。そこへ発熱しているからと糖分の多いスポーツドリンクなどを大量に飲ませると、弱った体は「湿が溜まりやすい甘味+水分」を処理できずに、体に水が溜まります。すると、熱が下がってもいつまでも治らない鼻水から中耳炎や蓄膿症になったり、痰がからんで咳がとまらず、しまいには喘息になってしまったり…となるのです。
脾の機能失調による痰飲は、二日酔いのむくみなどをイメージするとわかりやすいかと思います。
腎の機能失調による痰飲は、高齢者の足のむくみや高血圧などですね。
瘀血(おけつ)
血液のながれが悪くなり、血が臓腑や経絡に停滞することで起こります。
これで、病気の原因=病因の話は終わりです。
そこから、気血津液がどのように変化すると病気になるのか?
次回は、病理のお話です。
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