診断ー四診法
体質、病因、病理、病証と書いてきました。
それらを確認していくには、その人の様子を見て(望診)、声の感じや臭いなどを感じ取って(聞診)、質問をして(問診)、お腹や背中、脈、経絡などを触って(切診)いく必要があります。
まずは、その人のことをボーっと見る。
そこから情報を得ることを望診といいます。
目に力があって、顔の色つやもよく、背筋を伸ばし、ハツラツとして、キビキビ行動している人を見て、誰もその人を病気とは思わないでしょう。元気そうでいいな~と感じることが多いのではないでしょうか?
逆に、顔色が悪く、背中をまるめて、ぐったりしている人を見ると、どこか具合でも悪いのではないかと心配しますね。
まずはパッとその人を見て、元気そうか元気がなさそうか、感じられることが大切です。
さらに細かく見ていくと、目は肝の状態、舌は心の状態、唇は脾の状態、鼻は肺の状態、耳は腎の状態があらわれます。
パッと目が行くような特徴がみられる時、チェックします。
こめかみや前腕の内側の静脈が青く目立つときは肝虚証。
顔が赤い時は、心の熱が多くなっている。
全体的に黄ばんだ色をしているときは脾虚証。
色が白く、カサカサ乾燥しているときは肺虚証。
黒ずんでくすみが気になるときは腎虚証。
…というふうに、色で見ていくこともあります。
声や臭いから情報を得ることを、聞診といいます。
声の高さもその人の体質を表しますが、五行に対応した音階で聞き分けられる人はなかなかいません。
声が大きいと元気があり、小さいと元気がない。
喋るのが早いと熱が多く、喋りたがらないと熱が少ない、とみることができます。
体臭や、服についた柔軟剤の匂いが広がりやすい人は熱が多かったり、発散力の強い人とみることができます。
問診は、病院へ行っても行うので、馴染みがありますね。
これらの情報をもとに、ある程度予想をたてて、お腹や背中、脈、経絡などを触っていきます。
それを切診といいます。
経絡の凹みや、静脈の怒張、皮膚のつっぱり感やざらつき、圧痛や硬結などがあれば、そこから臓腑の虚実を考えることもあります。
脈診と合わせて、立てた証に違いはないか検討します。
東洋医学とは言っても、古典などの文献にかかれてある内容は当時の最先端医学であり、同じ人間についての医学であるので、東洋医学のことをよくよく学んでしまえば、東洋も西洋も分けて考える必要はないのです。
大昔の人が鋭い感覚で感じ取っていたことを、科学が進歩した現代においては数値として、または視覚情報として得られるようになった…だけの話。
ですので、鍼灸であろうと、漢方であろうと、検査結果の数値、レントゲンや超音波の画像からわかる情報をもとに、証を考えたり、治療方法や養生の方法を考えていってもいいわけです。
逆に、東洋医学的な望聞問切診から、現代医学的な治療を選択してもよいと考えます。
特に細菌やウイルスなどによる感染症に感染したときなどは、原因を検査キットや顕微鏡で見ることができる現代医学の方が得意です。無理して東洋医学をチョイスする必要性はないのです。
東洋医学、鍼灸の基本的な話は今回で終了です。
次回から、子どものことについて。
東洋医学的な子どもの見方からお話していきます。
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