病状-心の病証
心に病証はありません。
心臓が止まったら、脳が指令を送らなくなったら、人は死んでしまいますね。
心虚証とはそういうことです。
ただ、他の臓腑から心に寒熱受ける場合があります。
でも、そのまえにまず、心を包んで守っている心包に影響が出るため、心包の病証と考えることもできます。
心、心包に病が行く前に表裏関係にある、小腸、三焦に影響が出ている場合もありますし、臓腑に何の影響がなくても、経絡に何らかの病理がある場合もあります。
今までお話してきた病証の中に、「動悸」や「眠れない」などの症状が書かれてあった部分がありますね。それが、熱が心に、もしくは心包に波及して現れている症状です。
また、心包・三焦の働きは、腎陰・腎陽の働きでもあるので、この2つに関しては、腎の病証を参考にするとよいでしょう。
臓腑は大丈夫でも、経絡上に病理が見られる場合があるので、その時の症状をまとめておきましょう。
心の臓につながっている手の少陰心経の経絡に病がある病証
脇の痛み、内側上顆の痛み、掌が熱い、発汗と悪風、小指のつっぱり、小指側の腕の痛み、心窩部の硬直。
心包につながっている手の厥陰心包経の経絡に病がある病証
脇が腫れる、肘の内側がひきつる、掌が熱い、脇の下が詰まるような感じ、前腕内面から脇にかけての痛みやひきつれ。
心と表裏関係にある小腸につながっている手の太陽小腸経に病がある病証
頬が腫れる、喉の痛み、耳鳴り、難聴、顎が腫れる、首がこって振り向けない、肩の痛み、前腕の小指側が痛む、イボ、内側上顆炎、肩甲骨から首までの痛み。
心包と表裏関係にある三焦につながっている手の少陽三焦経に病がある病証
目尻の痛み、難聴、耳鳴り、耳周囲の痛み、頬の痛み、喉が腫れて痛む、肩・上腕・肘・前腕から薬指にかけての痛み、舌が巻く、五十肩、汗が出る、薬指のつっぱり感。
症状を聞いたり、経絡を触って、いろいろと質問をしていくと、「どうしてわかるんですか?!」と言われることが多々あります。
随伴症状を言い当てたり、生活習慣などを言い当ててしまうからですね。
それは、常に、ここにこういう症状がある人は、どこの臓腑がどうなっているか?経絡がどうなっているか?ということが、今まで述べてきた病因、病理、病証の話から推測がつくからなのです。
占い師でも、超能力者でもなんでもありません。大昔に培われた統計を利用しているだけなのです。
つまり、これらの東洋医学ができ上ってから何千年もの歳月が流れてきましたが、大幅に人間の体の構造やDNAが変化しているわけではないということがわかりますよね。
ですので、昔から言い伝えられて残っている健康法は、ほぼほぼ大丈夫!ということです。
では、次回は体質の見極め方、病の見つけ方をお話しましょう。
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