チック、吃音

今回はチック、吃音について。

あまりにも症状が強く出ている場合はトゥレット症候群と呼ばれることもあります。

チックは、まばたきの回数が多い、顔をしかめる、鼻をすする、咳払い、肩をすぼめる、などひんぱんに同じ動作を早く繰り返すことです。

吃音は、言葉が詰まったり、同じ音を繰り返すなど、言葉のリズムの乱れることです。

5,6歳の幼児によくみられ、良くなったり悪くなったり…を繰り返しながら、10歳代中頃に自然と見られなくなると言われています。まれに大人でも症状が残ることがあります。 

他の障がいを併発する場合も多く、注意欠陥多動性障がいや脅迫性障がいは、特に多い併発症とされています。 …が、障がいのない子どもでも、肝タイプの子には軽度ではありますがチックのような動作が見られることは多いです。ですので、すぐに発達障がいを疑う必要はありません。

かつてはストレスや不安が原因で起こると考えられていたために、「母親の愛情不足」や「育て方に問題がある」などと誤解されることも多くありました。

周囲の理解がないために、誤解されて悩んだり、症状を悪化させる子もいます。

特に授業中に声が出てしまったり、鼻すすりや咳払いのチックの場合は、「うるさい」などと言われショックを受けることも多いようです。

吃音があると、教科書の朗読や人前での発表を嫌がるようになり、学校へ行きたがらないということもあります。

チックや吃音を知らない子にしてみれば、理解できません。担任の先生とよく話し合い、クラスメイトに理解してもらえるよう伝えることも、大切かと思います。

どうしても、授業に影響がでるようであれば、保健室で勉強をし、声が気にならない体育や給食の時間は教室に戻る…など、症状のある子もない子も、互いに尊重し合い理解し合えるよう配慮してあげられるといいですね。


トゥレット症候群は1000~2000人に1人の割合で発症し、男の子の方が女の子に比べ発症率が高いと考えられています。

トゥレット症候群は、脳内神経伝達物質ドーパミンの過剰活動が原因とされています。原因は完全には解明されておらず、遺伝性素因が指摘されています。

運動チックと音声チックがある、大きい声が出てしまう、体を強くこわばらせるなど、チックの症状が1年以上強く出ていると、トレット症候群と診断されて、お薬も処方されるようです。


症状の重い場合は病院との併用をおすすめします。

小児はりでは、軽度な症状を、肝虚証として治療します。

肩背部の緊張を皮ふ鍼で取り除きます。

肩背部に引っ掛かるポイントがあるので、そこにお灸をします。

足は、膝から外くるぶしにかけて、胃経胆経のラインに皮ふ鍼をします。

側頭部から前頭部にかけて散鍼をします。

鼻炎をきっかけにチックが始まったような子どもは、合わせて鼻の施術も行います。


家では…

脳の発達のアンバランスで起こるので、脳の過剰な負担になることは避けましょう。

適度な負担は発達を促してくれますが、最近ではスマホやパソコン、ゲームの見過ぎは脳の過労を招くと言われています。発達段階にある子どもの脳を過労させては、健やかな発達は難しいですね。

精神的ストレスで悪化することは事実であり、症状を厳しく注意すると悪化するとも言われています。

チックや吃音については、子どもに言わない方がよい、とアドバイスされる方もいますが、チックや吃音であることを伝えるのは、小学生の子どもくらいなら、私はおすすめしております。

なぜ、まばたきしてしまうのか?声が出てしまうのか?その理由を説明してあげると、小学生くらいなら伝わります。今、どういう状態なのか?を知ることで、自分の状態に納得することができます。合わせて、チックの症状があることは、悪いことではない。脳が成長してくれば治るものなのだということを説明して、規則正しい生活を促してあげましょう。

 日中しっかりと体を動かし、陽の光を浴びて睡眠覚醒リズムを正し、バランスの取れた食生活を心掛けましょう。

子どもの健やかな心身の成長には、お母さん、お父さんがニコニコしていることが1番です。

寝る前に、肩や背中を優しくさすってあげるといいですね。

まばたきの多い子は、側頭部が緊張していることが多いです。歯ブラシでやさしく叩いてもよいのですが、嫌がる場合は手でやさしくなでてあげましょう。それだけでも緊張がとれます。

リラックスをすると、一時的にチックの回数が増えることがあります。1回だけで悪化したと判断せずに、数回様子をみましょう。

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