基礎理論ー整体観

東洋医学は「気の思想」でもあります。

「この世のものは全て“気”でできている」と考えます。

・目に見えない働きも気が行っています。

・目に見える物質は気の集まりです。

・天も地もその間にある空気もすべて気からできています。

そう考えることからスタートします。


目に見えないエネルギー的なものと、原子のようなもの。

そんな感じでしょうか…?


自然界を大宇宙とみなすならば、人体は小宇宙とみなします。

大宇宙と小宇宙。自然と人体。自然環境の中で人間は生まれ、自然環境に適応して進化してきた。お互いに影響し合い、切り離せない関係である。


これを「整体」といいます。


人間の身体は一つの生命体(気の集まり)であって、人体を構成する各組織は結合していて分割できません。

各組織が単体で働くことはなく、相互に強調し合うことで機能し、助け合い、病気になる時も影響し合います。

たとえば、胃は食べたものをドロドロにして消化吸収しやすい状態にする、という仕事をしています。

ですが、胃袋は胃袋だけで仕事をしていますでしょうか?

口があって、歯があって、そこで細かく噛み砕かれて、食道を通って食べ物が入ってくることではじめて胃の出番です。

そして十二指腸へ運ばれて、膵臓から出る消化液や、胆嚢から出される胆汁と混ざり、小腸に運ばれ…

と、胃が働く前後で様々な臓器が働いています。

内臓は副交感神経が指令を伝えることによって働きますが、ストレスを受けると指令をうまく伝えられなくなり胃もたれを起こしたり、ホルモンのバランスが乱れることによって胃酸の分泌のバランスが崩れて胃潰瘍にもなります。

胃は、胃袋だけでお仕事をせず、絶えず他の臓器や神経、ホルモンなどの影響を受けながら働いています。

胃は胃だけで存在しないのです。

そんな有機的統一体を「整体」といい、東洋医学を理解するうえで重要な観念となっていきます。


反対の言葉に「人体機械論」という考え方があります。

人体はパーツ一つ一つを組み合わせてできたもの。

悪いところができれば切って取り替えてしまえばいい、という考え方ですね。

胃潰瘍やがん細胞ができたら、そこを切り取ってしまう。

臓器を移植する。

などがこれにあたります。


人間の身体は、

気が分化して陰陽に分かれ、両親から陰(母)と陽(父)の精気を受け、それが合して1個の生命となります。

天の陽気(空気)と地の陰気(飲食物)を取り入れて生命活動を維持します。


「人の生たるや気の聚れるなり。聚ればすなわち生、散ずればすなわち死」(荘子)

体内の陰陽の気の調和が取れていれば健康、

取れていなければ病、

散逸してしまうと死。


目に見える物質を動かしているのも気。

気が昇降出入することによって、人は生き、物が動く。

その昇降出入に問題が生じると病気となる。

その昇降出入りが行われなくなると死んでしまう。


整体観と並んで、重要な考え方に「心身一如」というものがあります。

身体が気の集まりであれば、こころの働きも気が行っています。

心と体は相互に関わり合っています。

心のあり方が身体のあり方(体質)を作り、身体のあり方が変わると、心のあり方が変わるというものです。


反対の言葉に、「心身二元論」があります。

デカルトは心を「私は考える」 すなわち意識として捉え、自由意志をもつものとしました。

一方、身体は機械的運動を行うものとし、かつ両者はそれぞれ独立した実体であるとしまた。


気について語り始めると終わりがありませんので、東洋医学を学んでいく時、

・人間の身体は気でできていて、気が動かしている。

・こころの働きも気が行っていて、相互に関係している。

ということを、頭に入れながら読んでいただければいいかな、と思います。

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